高校生の私でも「おもしろい!」と思えた哲学書。
さて、今回は私が最近読んだ本の中で最高の1冊を紹介したいと思います。
「闘うための哲学書」(講談社現代新書)です。
この本、1冊の中に哲学的名著が22冊入っていて、これまでの哲学の歴史と考え方を網羅的に学べる良書となっています。以下、私がおすすめしたい理由3つを紹介します。
1、わかりやすい問い立て
22冊の哲学書の思想に触れながら、今を生きる私たちに通じる問いについて話し合われるため、その議論はわかりやすく必ずためになります!以下、本書での問いの一部です。
- 愛するとはどういうことか?
- 善く生きるとはどういうことか?
- 国家とは何か?
- なぜわれわれは法やルールに従わなくてはならないのか?
- 生きるとはどういうことか?
- 権力は悪か?
- 悪とは何か?
- 正義とは何か?
- 正しい戦争はありうるのか?
- なぜわれわれは勉強しなければならないのか?
などなど、ここで紹介できたのはまだ一部ですが、おそらく誰しもが一度は気になったことのある問いでしょう。その答えを探ることは、いつか悩んだとき、道に迷ったときのヒントになるはずです…
2、深堀りで理解できる対話形式
この本は理想主義と現実主義という、異なる立場の2人が対話するという形式のため、思想の多様な側面を知ることができます。
例えば、『正義論』の章では
①自由と平等に優先順位をつけるべきではない
②必ずしもその両方を両立しえないのではないか?
…という2つの考えが対立しています。
このような意見の相違があるからこそ中立的に考えることが可能で、さらには思想の「問題点」も浮き彫りになります。また、読んでいて議論の白熱する所はおもしろいです。
3、哲学の”流れ”を学べる構成
この本ではプラトンの時代の哲学から20世紀のものまでのたくさんの哲学的思想が紹介されます。そのなかでは哲学の歴史、系譜というものがなんとなく掴めます。
従来の書では一つのものにフォーカスしているものが多い反面、それらがどこから来た考えなのかを知ることは難しい1面がありましたが、本書では日本や西洋の哲学の発展を知ることができます。
ただしそのなかで印象的だったのは、哲学の発展図式というのはただ最新の哲学を否定して乗り越えていくことにあるのではない、というところ。
この観点を大事にして発展という形でそのつながりを読み進めていくのも面白そうですね。
総括
「闘うための哲学書」とっても興味深かったです!
個人的にはこの本のなかの「社会契約説」のあたりの国家や権力の話というのが、分かっているようでその発生過程を全く知らなかったことに気づかされて新鮮な感覚でした。
今までの人類の英知の結晶をぜひ手に取ってみてください!
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