【公正世界仮説】ありふれている被害者攻撃の心理

考察
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ネットニュースのコメント欄でこんなものを見かけた。娘が誘拐された事件、犯人は実は母親なのではないか?という説だ。皆さまお馴染み、”実は被害者に非がある”論。

同じような例はほかにもいくらでもある。
事件が起きた。被害者を責める。この過程では何が起きているのか?

書き込みをする人にとって、事件がどうでもいいわけではない。むしろ、事件がその人にとって不条理であればあるほど、被害者を責めずにはいられないのだ。心理学では「公正世界信念」または「公正世界仮説」と言われるものだ。

公正世界仮説とは。

人は皆、誰しもが「自分の世界は公正であるべき」と信じている。

因果応報、と言い換えてもいいかもしれない。「善いことには善い結果、悪いことには悪い結末があるべきだ。」これが、公正さ、だ。だが現実が公正とは限らない。善人が被害者となることもありうる。

そんなとき、多くの人は「こんなことがあってはならない」と怒るはずだ。

善人が苦しみ、悪人が笑う。もし公正世界が裏切られたとき、どうする?
起きてはいけないことが起きた、という事実は揺るがない。そこでひと手間。事実の方じゃなく、認識の方をいじるのだ。

もし、被害者に非があったとすれば?罰を受けたのが、偽善者だったとしたら?

悪人が報いを受けるのは当然。こうして因果応報の世界観、すなわち、あなたの公正世界信念は保たれたのである。これが、被害者攻撃の真相である。

逆に言おう。被害者を攻撃する人は、人一倍、規範意識が強いのかもしれない。

ちなみに言えば日本人は、このような規範意識(ルールを重んじる気持ち)が強い。有名なのは「トロッコ問題」に関するもの。日本人は、アクセル全開でルール違反者を轢く。ルールいかんよりも人数を重視する外国人とは異なる反応だ。同調圧力も規範意識の表れだ。一説によると日本人は「自己家畜化」の最も進んだ人種である、とも言われている。自己家畜化に関してはいずれ話したいと思うが、ここでは割愛する。このようにルールに重きを置く日本。公正世界仮説の影響力もそれだけ大きいと考えられる。

また、被害者攻撃に関して他の理由も考えられる。事件の単純化だ。

実際の事件を想像で、推理小説の世界に落とし込む。登場人物は、1人。犯人は自明。世界を単純化することにより最もシンプルな答えを導くことができるのである。すなわち「被害者=黒幕」説だ。ネットでは好き放題言えるがために、軽率な推理が出てくるのかもしれない。



……さて、今回は公正世界仮説に関するお話だった。納得いただければよいのだが。では、グッド・バイ!

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